• 2018.6.25
  • コメントは受け付けていません。

あの子に会いたい ごめんなさい

c4bf3107d3b8edfe0ac5a677ddd38c9b_s

ニックネーム らん

 

もう25年も前になります。

 

当時、彼と私は学校の同級生でした。

 

高2で同じクラスになり、私から彼に告白をしてお付き合いが始まりました。

 

私は彼のことが大好きで、殆ど毎日彼と一緒に過ごしました。

 

それから1年が過ぎ、秋の終わり頃、彼は専門学校・私は短大へと進路が決まりました。そしてちょうどそのすぐあとに、私は自分の生理がこないことに気付きました。

 

予定日から1週間、2週間・・・

 

彼にそのことを伝えたら、「だって、中で出してない…」と・・・逃れるような返事が返ってきました。

 

まさかとも思いましたが、その頃は今と違って簡単にネットで検索など妊娠についての情報が得られる時代ではなかったので、私は家族が留守の間や就寝中に家にあった家庭の医学書を開き、妊娠の初期症状について調べました。

 

それを読んで、自分のその時の症状にかなり当てはまっているな、と感じました。

 

そうではないように…と祈りながら、市販の検査薬で調べると、結果は「陽性」でした。

 

親友に相談すると、彼女のお母さんが知っている産婦人科を教えてくれました。

 

意を決して、親友に付き添ってもらいその病院へ・・。

 

初めての婦人科、初めて見るあの独特な診察台・・・とても怖かったのを覚えています。

 

内診をされたとき、 診察台のカーテンの向こう側から「妊娠だね・・・」という医師と看護師の声・・

 

その声が25年経った今でも耳に残っていて、今なお私を苦しめ続ける声であり、言葉なのです。

 

そして、エコー写真を渡されました・・・。私の赤ちゃん…

 

私はどうしたらいいのか?と、毎日毎日、泣きました。つわりのような症状もありました。

 

産む。という選択もまだ捨ててはいなかったので、念のため、学校の体育の授業や球技大会は見学をしました。しかし、1人で人混みの街に出掛けた時には、彼と電話で話している最中に貧血で倒れてしまった事もありました。

 

彼の赤ちゃんを産みたいという気持ちはすごくありました。

 

ですが、彼の人生、私の人生・・・進路が決まったばかり。

 

それをすべて壊してしまっていいのか?私が彼の将来を決めてしまって良いのか?

 

卒業式は妊婦で参加できるのか?白い目で見られたりしないのか?そもそも学校をやめさせられたりしないのか?

 

そんな事を毎日考え、不安で不安でたまらなかったのです。

 

悩みに悩んでどうしたらいいかわからなかった彼と私は、彼のお母さんにすべてを打ち明けることにしました。

 

彼のお母さんは、「まだ若いのだから…。」と、言いました。

 

そりゃそうですよね。息子を守るはずです。

 

そして、私は、彼のお母様のかかりつけの産婦人科へ行くことになりました。

 

妊娠がわかってからだいぶ時間がたってしまっていたため、その場で堕胎の手術日はすぐに決められてしまいました。

 

自分の子どもを殺すのはとてもつらい。やってはいけないことだと思いました。でも、彼のことは愛していたし、嫌われたくなかったのです。

 

そしてとうとう、学校が冬休みに入ってすぐのクリスマスの日、手術となりました。

 

彼のお母様が付き添ってくれました。

 

手術台にあがり、横たわると私は腕に全身麻酔の為の注射針を刺され、「声を出して、数を数える」よう医師に言われたのです。

 

「1・2・3・・・・」自分で覚えているのは3を言ったところまでです。

 

その後、目が覚めるとなんとも言えない、喪失感・虚無感・脱力感があったのを覚えています。

 

私のお腹の中にはもう完全に赤ちゃんがいなくなっているのだと分かったのは、

 

ベッドからおりて、手術室をフラフラ歩いて出ようとすると、バケツのような何かの入れ物に、私のであろう真っ赤な血の塊のようなもの、血色の水・・があったから

 

朦朧としながらも、あの日の光景は今でも鮮明に覚えていて、しっかり脳裏に焼き付いています。

 

手術をした日から少し経つと、胸が張りはじめ、母乳が出始めました。体が勝手に出産したと勘違いしてしまい、そのような症状が起こるそうです。

 

私の赤ちゃん、本当にごめんなさい。

 

きっとあの子も苦しかったと思います。

 

同じ子はもう二度と私のところへは戻ってきてくれません。

 

あの時にもっとそれがわかっていればよかった・・・とただただ後悔ばかりです。

 

その彼とはその後、お別れをしました。

 

しかし、元気で産まれて来てくれるはずだったかもしれない彼との子を自分の都合で、自分の手で、自分が殺してしまった…その彼との赤ちゃんに対しては、罪悪感は消えるどころかどんどん大きくなってしまいました。代わりはいないのです。

 

中絶後、日常生活のふとした場面で、その時のことがよみがえり、度々、精神的におかしくなってしまいました。そして心療内科へかかりました。

 

こんなに時が過ぎた今でも、完全に症状がなくなるわけではありません。今でもお薬を処方してもらって飲んでいます。

 

今でも、彼のお母さんに勧められたお寺に、水子供養に半年に1度行っています。

 

あの時に勇気をだして、出産するという道を選んでいたら。と、後悔ばかりです。

 

25年経っても忘れられません。

 

あの子が居なくなってよかったなんて、一度も思ったことはありません。自分を責め続けてしまうでしょう。本当に軽率な事をしたと思っています。

 

中絶をした女性は、この苦悩と罪悪感を引きずるのではないでしょうか。

 

男性は中絶に対してそこまでの思いは殆ど感じたりはしません。体の変化があるわけじゃないし、痛くも恐怖もありません。なので、女性の気持ちをわかってもらえないのです。

 

望まない妊娠については、色々と理由はあるかと思いますが、もしも私のような状況の方がいらしたら、考え直していただきたい、まだ迷っているのなら、ぜひ、人として後悔しない道を選んでいただきたい。そう願います。

 

~経験談募集 一人で悩まないで~

ページ上部へ戻る